右隣りは、主婦は高飛車で倅はチンピラだった。バイクの窃盗などもやっているガキタレだった。それがタバコの吸い殻を当家の庭に投げ込むばかりじゃなく電話を貸せと言ってはあがりこむ。普段年寄りしかいないところで、こんな気味の悪いことがあるだろうか。私は都内を引き払って同居を決意した。
そこまでは前回に述べた。そのことを倅が気付いたかどうかは知らないが、あるときは食べ物のかすまで投げ込まれてあるのを見つけた。ポテトチップスとかバーガーの包み紙などがバラまかれてあったのだ。
私は挑戦と受け取った。それならこっちも意思表示をしておく必要がある。ここはもう年寄りだけではないと言うことも示して置く必要がある。私はそれらをかき集めて袋に入れて隣りに停めてある車に投げつけた。袋が破れてポテトは四散した。それを偶然主婦が目撃していた。
何か言ってくる---そう思ったが、なかった。逆に倅にお小言を垂れているようだった。そのボソボソが聞えてきた。その時の倅の言葉使いが、少々知能に疑問を持たざるを得ない雰囲気だった。乱暴とかよりも、言葉になっていなかった。そんなで他人とどんなコミュニケーションを取っているのだろうか。それでも倅は高校生なのだ。あまり評判は高くないが普通にその辺の女子も通っている普通校だ。
こんなのが高校に行けている。日本はいつの間にそうなったのか。後で聞けば倅は中学生時代からのグレだったと言うし、そんなのは、少なくとも私がガキだった頃は高校進学は無理だった。卒業と同時に働くか違う世界へ行ったものだ。
つまり、これも人口減少なのだろうか。誰でも入れざるを得ない。しかしそれを別にどうとは言わない。人生の途中ではあれこれとあるものだ。とにかく隣りは年寄りだけじゃない。そう認識してからは多少の遠慮はするようになった。高飛車だった主婦も妙に愛想が良くなった。
この変わりようにも驚くのだが、実は、本当に厄介だったのはそっちではなく左隣だった。こっちにも登校拒否の娘が居たのだが、当家は延々とこれ苦しめられるようになった。
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