視える--という女性に関しては、もう自分には方法がない。どこかでバッタリ遭遇するかでもないと話は完全に途切れる。その訳アリの感じはちょっと気にはなるのだが、なったところでしょうがない。
ということで、空間から髪の毛が出現するアパート--に関して記したい。集合型のアパートではなく二階建ての一階に大家一家が暮らし、二階の並び二つを貸していたことは前回書いた。ふたつとも空いていたのでベランダに面した方を選んだ。細い階段を上ったら直ぐの部屋で、ベランダに窓から出られる造りで面白かった。ベランダは広くて椅子とテーブルくらいは置けるほどのスペースがあり、そこからサンシャインが望めてなかなかの雰囲気だった。
今まで六畳一間だったことを考えると、そこに三畳間と四畳半くらいのキッチンがくっ付いた空間はちょっとした出世を感じたものだった。
玄関脇にトイレがあって、訊けば前の住人は板前だったとかで、その人の趣味なのか松田聖子のポスターが貼ってあった。別にファンではなかったがそのままにして置いた。前の人は松田聖子の顔を見ながら用を足していたのかと思うと、ちょっと変な奴だったのではないかと思った。はがさないままなので自分もそうしたのだが…。
付近に猫が多いなとすぐに感じた。部屋を見に来た時もベランダで野良と思しきが横たわっていたが、どうやら大家の趣味のようだった。動物は嫌いではない。悪さをしない限りは無視していた。猫の内何匹かは用心もなく触れるくらいに慣れていた。
転居しばらくは楽しかった。新たな生活だ。付近を散策したり、使える食堂とかを探すのが楽しかった。大塚駅周辺にも行けるし、逆に行けば巣鴨の商店街にも行けたので、買い物も便利だった。商店街が好きな私はしばらく散策を楽しんだ。
が、半月も経たない内に、ちょっと変だと感じ始めた。
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