2024年6月25日火曜日

空間から髪の毛が出現するアパート--3

このブログは作り話はしないので事実ネタがなくなったら終わる。元々それでスタートしている。後はどうなるか知れない。色んな事をやっているのでこんな奇異なブログは中心にはならない。しかし端っこだから面白いというのはある。無理なく続く間だけのブログだ。





それはともかく話の続き。越したばかりのアパートが何日もしない内に変だと気付いた。時々怒鳴り声がするのだ。ドスの利いた太いおばさんの声だ。しかし明らかに大家ではない。入居時に会った大家はもっと年配の女性だった。すると娘だろうか。誰かに向かって怒鳴り声を発している。家族の揉め事だろうか。なんと言っているのかしれないが、その言葉の汚さは想像できた。

引っ越しはいろんな面で気持ちをリフレッシュしてくれるものがある。私にしても変わりはない。気分一新、新たな出発だと意気込んでいた。それが陰り始めた。

だが人はいきなりな反応はしない。成り行きのまましばらくそのまま過ごした。気味は悪いが自分に関係なければ良いのだ。

敷地内に住んでいるのは大家一家とアパートの住人だとばかり思っていた。アパートにはまだ私しかいない。隣りは空いている。一家が何人家族かしれないが、月ごとの家賃を持って行ったときに知らぬ顔を見た。若い男性で温厚な物言いだ。その彼がどことなく大家に似ているから多分倅だ。奥へ行って判子を持ってきて領収印を押してくれている間庭をぼんやり眺めると、その隅々に何匹も猫が居ることに気づいた。白い液体が蒔かれて消毒の臭いがしている。

野良を餌付けしているのだと思った。ある種の人は得てして猫の餌付けを始める。珍しいことではない。しかし掃除もしているようであるし、動物は嫌いではないから、こちらに迷惑がなければ別に不都合はなかった。たまに遊びに来るくらいは面白いかなとすら思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿