徐々に事態は悪化しつつある。あれこれ試しているが、如何せん遅すぎた。試す時間が足りない。遠くない内に一つの決断をしなければならないだろう。
いやこれは自分の身体のことだ。それはともかく、ブログは続けよう。可能な限り。ここしばらく、不思議なアパートのことを書いている。不思議と言っても、その時はピンと来ない。あとから振り返って、いやそれはないだろう。そういうものなのだ。
髪の毛は、以後度々出現するようになった。ほぼ同じ長さのストレートヘヤだ。同じ人、それも女性のものに違いない。最初はあまり気にしなかったので出て来る度に首を傾げながら捨てていた。その全部を覚えてはいないが、ある時は夜中にトイレに起きて、戻ってきたら枕の上に乗っていた。
オヤッと思いつつも鈍感な私はまだピンと来ない。ゴミ入れに捨ててそのまま横になった。覚えているのは、そのとき寝る前に、枕元で国木田独歩の武蔵野を読んでいたことくらいか。銭湯の帰りにレンタルビデオを借りて見ていたり、ごく普通の暮らしだった。隣りはずっと空き部屋だった。私にはその方が良かった。
ある時、コンビニで買ってきた弁当を食べながら雑誌を読んでいた。誰でもやる行為だ。キッチンの板の間に小さなテーブルを置いて雑誌を左手に置いてモグモグとやって箸をご飯に伸ばす。その時に、ご飯の上にスーッと一本乗っていたのだ。
さすがにこうなるといよいよ変だと思わざるを得ない。ご飯の上には一旦雑誌に眼を移すまではそんなの乗っていなかった。弁当を開けばそのときに分かる。一旦眼を他所へ移した時に出現する。これが共通している。だから出現するところをリアルタイムで見た訳じゃない。
一体何本出て来るのか、以後は捨てないで保管することに決めた。出て来る奴を全部テープで壁に貼り付けた。捨てていたのと以後現れたのと合計すると10本程になろうか。
だが、事態がそうなっているのに変だとは思いつつ怖くはなかった。どちらかと言えば、下に住んでいる得体の知れない存在の方が気になっていたのだ。そう、ドスの効いたドラ声の…。そっちは私から見ると妖怪ではないものの完全に異様だった。
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