2024年4月28日日曜日

隣人たちの不気味--3

引っ越しの荷物をどうにか運び入れてひと息吐いたら向かいの奥さんが庭仕事をしているのが見えた。直ぐに出て行って挨拶をした。丸顔の可愛い顔した奥さんだった。奥さんはこちらの挨拶を受けてこう言った。

「この辺は煩くて大変ですよ」

ちょっと困り顔だった。笑顔になれない事情があったのだが、それ程深刻には受け止めなかった。しかし徐々にそれは見え始めた。

中古の購入だったので家の下見をさせてもらう。一般的なことで、私たちもそうした。中古と言っても家が新品同様なのでそちらに心を動かされた。しかし二軒隣から犬が吠え続けていて気になった。その事を問うてみたが--いつもは静かだ。今日はなにかあってのことでしょう--とさり気なく答えた。

一時犬が吠えるくらいはどうってことないか。そんな風に思った。入ってみるとそれが違った。ほぼ毎日吠え続けているのだった。

一方、夜十時以後は風呂に入るなといきなり注文を付けた右隣り(吠える犬はその更に右隣り)も、実はかなりややこしい一家だった。倅がろくに学校にも行かず不良グループに入って何度も警察沙汰になっているようだった。この倅が、夜の夜中に不良どもと家の前でたむろしてタバコを吸いながら朝まで何かやっている。 その吸い殻を当家の庭に投げ込むのだった。

やられたと思った。つくづく人間が甘いのだった。

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