2024年4月20日土曜日

隣人たちの不気味--2


越してきた当初、私は都内で仕事を継続していて両親と兄が先に住むことになった。 ローンと家賃が重なるので不経済だったが、それでも仕事の都合上都内に居るメリットがあった。兄はホテルの夜勤で一日置きに都内まで通うことになった。その間は老いた両親だけになる。

二人が揃って近所へあいさつに出向いたら、右隣りの主婦からいきなり言われたそうだ。夜十時を過ぎたら風呂を使わないでくれ。

なんでも亭主が観光バスの運転手で、早朝出勤だそうで早い時間に寝ているからと。

この主婦を、荷物を運び入れている時にちょっと見かけたのでその時私も一応の挨拶をしたが、歯の出っ張った不良姉ちゃんのような顔立ちだった。さすがに大人だからガキ娘のような尖り方はしていないが、少々私の気持ちに翳りが生じた。これが隣りか…。

それにしてもいきなりな言い様だ。それを嘆く電話が母からかかってきて、左隣もなんだか様子が変だと不安気な声だった。

どう変なのか、その時はまだ漠然としていた。後々それ程の苦労をするとは夢にも思わなかった。

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