2025年6月23日月曜日

ある日突然巨大な怪物--3

ここまで書いてきて、多分読んでいる人は作り話だと思っているに違いない。起きていることがあまりに突飛だ。しかしそれは自分にはどうでも良い。世間に信じてもらっても始まらない。それで治るものでもない。



つまり、 いきなりそんなのが目を覆うように出現して、それが消えないままだとすると、自分の残りの人生の不自由はある程度は覚悟せねばならないだろう。だったらどうする。咄嗟に考えたのはそれだ。

最早両目で見ることは無理。右を瞑ってしまうしかない。世の中には現実にありもしないものがずっと見えている人が居るそうで、随分昔のドキュメンタリーだったかニュースだったか何かの特番だったかは忘れたが、100万人にひとりくらいの割合で存在するのだとかの記憶だ。自分のもそうなのか。100万人にひとり…。宝くじにも当たらぬのに。

こうなったら眼帯を用いれば良いのか。柳生十兵衛や伊達政宗みたいにするのか。現実的ではない。あんなのずっとやっててとれないのか。ドラマなんかじゃどうやってるんだ。煩わしいだろうな。眼鏡の右っかわを塗りつぶしたらどうか。いや、そんなので完全には防げない。とにかく完全に目を瞑ったみたいに塞がないと怪物のような像がずっとみえることになる。

あれこれと考えが浮かんで20分程も経ったろうか。するとその怪物が、何か微生物にでも食われるみたいに周辺から溶け始めたのだ。自分はそれを呆然と眺めた。子供の頃に墨流しをやった人が居るだろうか。あんな感じで墨が溶けて流れるように分解して、そして数分も経たぬ間に消えてしまった。

ホントにそれは、嘘みたい話だった。


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