2024年3月3日日曜日

かまいたち--3

奇怪なことに遭遇した人でないと多分ピンと来ないだろう。そのさなかにある間はその奇怪さがピンと来ないのだ。なんだろうと思いつつ消毒したりはする。でもそれだけだ。後から段々と、そんな馬鹿げたことがあるものかと思い始める。姿形も見えないものに引っかかれるなどと。



気になって、やはりかまいたちにやられたとする人の動画を探した。あるにはあったがその人は妙にはしゃいでいて、しかも自分のとはかなり様子が違う。その人のは世間で言われている通りのかまいたちだ。信憑性の判断も、何とも言えない。

幸い、しばらくは何も起きなかった。だが、一年後か二年後かもう忘れてしまったが、似たことが起きた。今度は反対側、右膝の同じ部分を引っかかれていた。

まったく気付かなかったが、風呂に入った時に湯が滲みてはじめてわかった。しかし前回とは違って今度はほんのり血も確認できて、その時は既に汁が出て腫れあがっていた。やっぱり一本ではなくて並ぶような形で軽度に引っかかれた跡があった。そこもやや腫れている。

だから共通する部分もあるが、違っている部分もある。なにしろ二度目はやられたときに全く気付かなかった。 風呂からあがって消毒をして、多分オロナインかメンソレータムを塗ったのだと思う。

このことは、普段よく訪問している画廊の店番の女性にも語ってる。女性は霊能もなければ特にそちらの話が好きとも言えないようだが、身の周りにその手の人が何人か居るそうだ。その画廊にも霊がずっと居ると言っていたそうだ。

しかし今はその話は置いて置こう。

右膝に現れた現象は、実はその後にも一度だけあった。同じところをやはり引っ掛かれていて同じように汁がでて、しかもやはり、やられた時には気付かなかった。

気味が悪いのは、膝だから良いようなものの、これが顔、特に眼などをやられると事は重大だ。だからそれはそれで心配ではあったが、現実に起きていることだからどうしようもないのだ。そんなのを防ぎようもない。

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