街に向かう坂道に人馴れした猫が居た。さわっても怒らず、どころか通行人に合図してさわってもらうタイプの猫だ。どこかの飼い猫であることは確かだが、普段は周辺をうろついているが大体は同じところに居る。
その猫が、いつの頃からかバッタリ見かけなくなった。暑すぎるのかとも思ったが、こんなに暑くなる前から見かけない。
その辺りを通りかかる時、付近の人を見かけたら訊いてみようかと思ったが、何故か人すら見かけない。偶然なんだが、近所の人もあまり外に出てどうのという街ではないのだ。車通りはあるのだが。
猫はある時バッタリ見かけなくなることがある。以前住んでいたアパートの大家の猫も二年行方不明だったが、あるときフラッと戻ってきた。大家一家は皆首をかしげていた。二年もどこにいたのだろうか。きっとどこかで閉じ込められていたのだ。そんな話すら出た。
思い出すのは、例のアパートのことだ。懐いた猫がピタッといなくなる。あれは何だったのだろう。猫はそれっきり見かけなかった。その時と同じとは言わない。全然話は違うのだが、つい思い出したのだ。坂道の猫はどうなったのだろう。気まぐれでどこかへ行ってればいいがと思う。
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